さよならがんじがらめ

イギリスにMBA留学中の広告クリエーターの日々のこと

イギリスで差別について考える

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日本では、年末にダウンタウンの浜ちゃんが顔を黒塗りにしてエディマーフィーの真似をしたのが差別に当たるかどうかでインターネット上では議論が加熱していました。同じ頃こちらではH&Mが「COOLEST MONKEY IN THE JUNGLE」と書いたパーカーを黒人の少年に着せた写真をカタログに起用した件が問題となっていました。

 

MBAの授業の中で「Ethics」「Ethical」というテーマが頻出します。訳すと馴染みの薄い言葉かも知れないけれど(倫理問題)いわゆるセクハラやパワハラや差別などを企業の経営、戦略の中できちんと考える必要性がものすごい勢いで高まっているようで、それは日本でも同様だと思う。不倫(読んで字の如し倫理が不在!?)やパワハラはホットな話題だ。MBAでもいわゆる「哲学」的な文脈でなく、実践としての「Ethics」の重要性が高まったのはこの数年のようだ。

 

自分は「差別」を無くすのは難しいと思っている。どれだけ「平等」だ「同じ」だと言っても「違う」ものは違う。男性と女性には明らかに差があるし、人種間で肌の色が明らかに違う。そこに「差」があるのは避けられない事実。その「差」に対して「優劣」をつけてはいけないとは言うけれど、例えば筋力や知能指数など数値化できてしまう優劣だってある。「差」があることはお互いに認め合って、得意不得意を補いあって、みんなが仲良くやっていけば良いと思う。なんでもかんでも平等だと言うのは構造的に無理がある。

 

「相手が不快に思ったら差別」という考え方もある。でも、冷静に考えるとそれが差別であろうがなかろうが、他人に不快な思いはさせるべきでないと思う。人種や性別の関係なく「常に相手の気持ちを思い、相手がいやがることをしなければ良い」これが自分の結論。

 

それでも嫌な気持ちになることは黄色人種のアジア人としてイギリスにいたら日常茶飯事だ。「あ、差別されてるな」って感じるけど、そこには「差」があるんだから「しょうがないよな」と思う。例えば、髪を切りに行けば「アジア人の髪は本当に真っ黒なんだねぇ」と言われる。そして切りながら「毛量多いよねぇ」とか「剛毛だねぇ」とか言われる。多くの日本人はなんとも思わないかも知れないけど、自分は傷つく。ブロンドや細い髪の毛に憧れが強いからかも知れない。でも黒人の客に「肌、黒いですねぇ」「頭皮まで黒いんですねぇ」とは美容師はきっと言わないだろう。それは言ったらダメだと社会が決めたからなだけで、どっちも事実だし、彼の感想だ。

 

発信者に「悪意がなかったら」どうなんだろうか?「日本は中国語をしゃべるのか?(公用語か?)」と聞かれて反射的に不快な思いをした。でも、自分もリトアニア人のクラスメイトに「リトアニアでは何語をしゃべるの?」と質問したことがあるくせに。ようするに知らなくて、知りたいと思っただけだ。どこか自分の中に「中国といっしょにしないでくれ」的な気持ちがあったんだと思う。そんな自分の方がよっぽど差別的だと反省する。でも、じゃあ、黒人の肌の黒さが美しいと思って「かっこいいよね、その黒い肌」と言ったら、どうなるだろうか?不快に思われる気がして言えない。黒人のコーンローやドレッドもカッコよくて憧れることがあるけれど、それも縮れ毛をバカにしてることになってしまうのかも知れないと思うと、言えない。

 

中国人のクラスメイトは友達にお菓子や果物をよくシェアしてくれる。先日、ごそっと1房のバナナを鞄から取り出した。日本人としては教室でバナナが鞄から出てくるところで驚く。同じテーブルのみんなに1本ずつ配ってくれた。ガーナから来ている黒人が断った。その様子を見たイギリス人の白人が自分に目配せしてきた。ハイコンテクスト過ぎて理解を超越した。正直、面倒くさって思った。差別論者の人からしたらこんなことを言うのは許しがたいのかも知れないけれど、そんなところで変に気を使いあっている方が気持ち悪いと思った。平和ボケの日本人のあまちゃんが無知なだけなんだろうか?黒人のクラスメイトにバナナをシェアしてあげても良いのかいけないのか未だに答えが分からない。

 

でも「どうやらダメらしい」から言わないようにしているだけで、ホントに差別が解決するんだろうか?言われてイヤだなと思っても、相手に悪意がなさそうなら全てに過敏に反応せず許しても良いと思う。それでもイヤだったら指摘して欲しいし悪意がなかったなら1回目は許してほしい。「あ、この人にとってこれは不快なんだ」と理解できれば次からはもう言わない。

 

浜ちゃんは、当然ながら黒人全般をバカにして笑おうなんて意図があるわけない。文脈的にここにエディマーフィーが出て来たら笑えると思ったからその真似をしただけ。これに対して、エディマーフィー自身が我慢できないほどの怒りを覚えるとは思えない。H&Mの方はどうだろうか?まず、思うのがそもそもなぜデザイナーは「ジャングルでいちばんかっこいい猿」なんて言うデザインをしようと思ったんだろうか?表現の自由だけれど、誰かがそれをカッコいいと思って買うとも思えない。特にH&Mは大衆向けのブランドだ、そこそこの数売れると思わなければ製品化しないだろう。デザイナーから上がって来たこのデザインを見て、マネージャーはなぜOKを出したのか?例え白人のモデルが着てたとしても、そもそも誰も買わないでしょ?これ。そう思うと、そこになんらかの「意図」があったんじゃないかなと邪推もしてしまう。そう考えると、それを黒人たちが怒るのも分かる。

 

多国籍のクラス、白人が支配するイギリス、日本にいてはあまり考えることにない、でも、大事な問題である差別について日々、考える。