さよならがんじがらめ

イギリスにMBA留学中の広告クリエーターの日々のこと

スコットランドの青空の下でちょっぴり涙した話

f:id:mk1977715:20180704071233j:plain

久々の更新になってしまいました。修士論文を書き続けなければならないこの時期、ただでさえ英文を書くのが遅いのに、イベントが満載です。まず、2週間前にMBAのオプショナルのスタディ・ツアーでスイスに行きました。毎日、午前中はスイスの大学で授業を受け、午後はスイスの企業を見学、そして夕方から夜にかけてスイス観光という1週間だったのですが、控えめに言ってスイス最高でした。授業内容も、人柄も、景色も全てが美しくそして刺激的でした。日本に足りないものがスイスにはたくさんある気がして、エントリーを途中まで書いてあるのですが、、、そこに折り重なってくるワールドカップ。

 

いつも日本だと真夜中だけど、イギリスだと夕方や夜のベストの時間にやっているので、ついつい見ちゃいます。スイスにて50代の奥さまたちと思わず熱い抱擁してしまったスイス戦、チューリッヒの空港で見た日本戦、街の広場でパブリックビューイングを見たイングランド戦など、試合内容以外にも思い出たくさんのワールドカップです(残念ながら昨夜、日本は負けちゃいましたが)。ほかにも近所の水道管が破裂して朝から1日断水になってみたり、携帯電話会社がおそるべし親切だったり、ブログに書きたい話はたくさんあるのですが、その中でもどうしても記しておきたいのが、先週末のスコットランドの旅です。

 

ブリュードッグ本社に行ってきた

上の写真はなんとあのイギリスのクラフトビールの雄、BrewDogの本社にあるビール醸造所です。行ってきました!!

 

大幅にはしょりながら説明すると、、、今、世界のクラフトビール業界はインディペンデンス(自主性)が大きな問題になっています。元来、クラフトブランドたちは、互いにライバルではあるけれど、そこで戦い合うというよりは、互いに協力し合い、共通の大きな敵であるメガブランド(バドワイザーとかハイネケンとか)の牙城を崩すことを目標にやってきました。はじめはクラフトビールをバカにしていたメガブランドも、クラフトブームが瞬間風速的な流行ではなく自分たちのビジネスを脅かしかねないことに気がつき、なんと大枚を積んでクラフトブランドを買収し始めています。

 

クラフトブランドの創業者からしたら大金が手に入るし、世界に幅広く流通することが可能になり、悪い話ではありません。でも、ほかのクラフトブランドやファンからしたら「金に目がくらんだか!」という嫉妬の目以上に、クラフトビールの基本姿勢を根底から覆す行為に怒りが隠せません。巨大資本を前に、このままブームは終焉して行ってしまうのか!?・・・というところに急先鋒で噛み付いているのがBrewDogです。買収に応じたクラフトブランドを「恥だ」と切って捨て、必死に戦っています。

 

一般的に企業の拡大には資金が必要になりますが、そこでBrewDogはEquity For Punksと言う非常にユニークな方法で資金を集めています。株式市場に株式を公開するのではなく(そうすると自主性が失われる可能性があるので)、ファンたちにミニ株主になってもらうような仕組みです。クラウドファウンディングとも近いかも知れません。BrewDogのビジネスに賛同するファンが、資金調達の申し出があった際に入金するとミニ株主のようなファンクラブのようなものに入ることができます。経営の一部を握ることになるので、新作のビールの投票など意見を反映させることもできますし、BrewDogのバーで飲んだり、ビールを通販で買う際に割引を受けることもできます。

 

もちろん自分は会員です。そして、先日、その会員たちとのふれあいの会のようなものが開催されました(株主総会のようなものは別途またあります)。以前から修士論文を書くにあたって、BrewDogの社員にインタビューが出来たら良いなとは思ったけれど、なかなかハードルは高いだろうなと思っていたところにきたこのお知らせ。「株主の頼みは断りにくいのではないか?」とニヤリと思い立ち、その「会に出席するからついでに話を聞けないか?」とメールを送ってみたところ、なんと快諾されたのです!

 

とにかく遠い

f:id:mk1977715:20180704075133j:plain

いざ行くことになりGoogle Mapで検索してみると、なんと我が家からDoor to Doorで13時間かかると、、、。結果、2泊3日の旅になりました。スコットランドと言えばエディンバラグラスゴーは聞いたこともあるかも知れませんが、その次に大きな第3の都市アバディーン。だいぶ北の方にある街です。エディンバラで休憩を挟みながら、合計で電車に6時間以上揺られ、アバディーンで一泊。写真はアバディーンですが北海油田の石油採掘の基地港なだけに、とても綺麗に整備された街並みでした。

 

f:id:mk1977715:20180704075831j:plain

翌朝はスコティッシュな朝食をたっぷり食べてバスに1時間ゆられ、目的の地に着きました。BrewDogのHead Quarter(本社)です。めちゃくちゃ遠かったけど、日々、飲んでいるビールもこの道程をたどってやってきているのかと思うと感慨深いものがあります。

 

肝心のインタビューは、イベント前のゴタゴタのタイミングだったこともあるし、自分の英語力の乏しさもあり、まぁ、無難に短くするっと終わってしまいました。担当してくれた人もマーケティング部門の中では、割と下っ端の方でかつ就業歴もまだ短い方でした。ちょっぴり残念だけど、良いんです!来たことに意味がある!

 

f:id:mk1977715:20180704080340j:plain

お昼になるとイベントも始まりました。新作ビールの試飲会などの小イベントを挟みながらも、ゆったり和やかな最高の雰囲気。だいぶ北に位置するので、少し肌寒くはあるけれど(20度前後)天気は最高、良い感じの音楽がかかり(Foo Fightersが多め)、芝生でゴロゴロしたり、各地で爆笑が起こったり、みんなBrewDogのTシャツを着て、お気に入りのビールを飲んでいる。正直、最高のロックフェスに行ってる感覚とまったく同じ感じでした。

 

これは夢か幻か

「あぁ、いいなぁ、なんて素敵なんだ」と感慨にふけっていると「さっきの試飲会での質問、すごくよかったよ」なんて話しかけてくれる人もいます。パッと見た感じアジア人はほかにいなかったし、1人で参加していたので物珍しくもあったのでしょう。そんな中で素敵な出会いがありました。

 

アバディーン美術大学で講師をしていたというおじさん2人組。BrewDogの武勇伝を語り合ったり、好きなビールの話をしたり、自分の修士論文の話を聞いてもらったり、そんなことをしていると「ちょっと待ってろ」と消えて行き、1人のBrewDog社員を連れて着てくれました。

 

「ヘイ!わざわざこのイベントのために日本から来たってホントか?なんてCoolなんだ!」

「しかも修士論文クラフトビールのことを書いてるんだって?Fantastic!」

「オレにできることはなんでもさせてくれ!とりあえず工場見に行こうぜ!」

 

ノリの良いがっつりタトゥーにツンツン頭のお兄ちゃんが醸造所を案内してくれると言うのです。そんな見た目だけど、なんとこの方、人事担当のマネージャーさん。

 

f:id:mk1977715:20180704081805j:plain

人事担当と言っても、当然、自社のことにはめちゃくちゃ詳しい。細かい数字をたくさん交えながら、醸造方法やBrewDogの歴史などを教えてくれました。

 

f:id:mk1977715:20180704081852j:plain

個人的には特にBrewDogのデザインやネーミングに興味があったので、そんなことを教えてもらったり、すでにだいぶ酔っ払っていたのもあって夢見心地でした。

 

f:id:mk1977715:20180704081943j:plain

最後は、BrewDogの新ブランド、Sour Beer(柑橘をたっぷり使った酸っぱいビール)を専門に扱うOverWorksのTap Roomに連れて行ってくれ一杯ご馳走してくれました。そこでもじっくり話に付き合ってくれ、なんだかんだと1時間半くらい、日本からやってきた学生に忙しい中、時間をさいてくれました。なんたるホスピタリティ。

 

なんだか泣けてきちゃいました

f:id:mk1977715:20180704082040j:plain

十分にBrewDogを満喫し、バス停まで草原を歩く道すがら、幸福感に包まれながらちょっと涙がこみあげてきちゃいました。自分でもよく理由は分からないけれど、嬉しさもあったけど、それ以上にうらやましさみたいなのがあったような気がします。

 

 

社員もお客さんも、あそこにいた人たちはみんな本当に幸せそうで、そしてかっこいい。なにもないけど、美しい自然が拡がっていて、うまいビールがある。もっとずっとここにいたいって感じたんだと思います。

 

写真は、醸造所見学の途中、瓶詰めされた大量のビールに次々とラベルを貼って行くマシンのところでおもむろにできたばかりの商品を手にとって「記念に持って帰れ」と手渡してくました。Vagabondはもちろん飲んだことあるし、普通に手に入るものだけど、出来立てを、手渡してもらった1本、、、飲めないなぁ。日本にこのまま持って帰れるのかなぁ。